『……米田様。実は、もう1つお話があります』
改まってそう言った私の言葉に、何でしょう? と向き直ってくれる当主と、いきなりの事に驚きを隠せていない壮一。
『……月夜』
私の言葉とともに、月夜が一歩、私の隣に出る。
『月夜……‼︎』
当主は、私が頭を下げた時よりも驚き、戸惑いの声とともに月夜の名を呼ぶ。
突然現れた、死んだと思っていた息子が現れたのだから、当然の反応かもしれない。
『月夜は、私の右腕として、時雨組、黒羽財閥に必要な人材です。
彼は、私をここまで支えてくれました。
これからも、それは変わらせないつもりです』
私の言葉に、ゆっくりと当主が頷く。
『月夜を、そちらにくれということですね?』
『わかりやすく言えば、そうです。
私は、月夜を手放すつもりはありませんから』
当主の言葉に頷き、笑顔で言葉を返す。
『まさか、兄弟揃ってあなたにお世話になっていたとは』
驚いたように、それでもどこか嬉しそうに言う当主に、首を傾げる。
『もちろんです。
月夜は、あなたの隣にいる今の方が輝いている。
彼の、好きなようにさせてください。
月夜は、私も、今の方があっているように感じますから』
そう言って笑った当主をみて、私はゆっくりと月夜の背中を押す。
『玲彩様?』
そんな私を振り返り、疑問を含めた声でそういう月夜に笑みを浮かべる。
『挨拶は、必要よ??』



