『……皆、準備良い⁇』


月夜の運転する車に乗り込み、皆を見渡す。

私の言葉に頷いた皆をみて、私も頷く。



『若、そろそろつきますよ』


『……わかった』



月夜に返し、もう一度、皆を見る。


『……私は、ここでは黒羽玲彩でもなく、時雨組の組長でもない。

黒羽財閥総帥 黒羽玲彩だから。

皆も、自分の立場を間違えないで』




私がそう言った瞬間、皆の目の色が変わる。


分かってるはずだ。皆。


それでも、最終確認。


『……家に恥じぬよう、頑張ろう』



壮一を助けるとともに、自分の家の名に泥を塗らぬように。


恥じぬ振る舞いを。



『……皆、ありがとうございます』




改めて、壮一がそう言いながら頭をさげる。




『『今更だよ、壮君‼︎ 仲間として当然だよ‼︎』』



『……壮一には、助けてもらってるから』



『仲間を助けるのは、当然だろ?』



壮一の言葉に、呆れたように返す皆の言葉を聞いて、私も壮一も、皆も笑みを浮かべる。



『壮一。どういたしまして』




ニッコリと笑いながら、壮一にそう言う。



『……玲彩さんには、今度お礼しますよ』