黒狼と猫の総長様





いつもは裏で仕事をこなし、月夜に代わりにパーティーに出てもらっている。




そのせいで、人前に滅多に出てこないからと言われ、眠りの姫。だなんてあだ名をつけられた。





……行かない理由はただ1つ。


大人の。

汚い大人の、醜い世界を見るのが嫌なだけ。



私は、どうしてもあの世界になれる事はできそうにない。




自分があの世界の中で普通に生きていけられる人間になれば、私も、そこまで汚くなったという事。




そう、思っている。




でも、仲間の危機だ。



私の私情で、壊すわけにはいかないの。


この、楽しい時間を。



『……壮一、貴方の父上、米田の当主を、黒羽財閥開催のパーティーにお呼びします。


それを、お伝えください』





意を決意し、壮一にそういう。





『もちろん、皆様もご参加、してくださいね?』



いつもと違う口調。



完璧なつくり笑い。




丁寧な作法。



綺麗で、美しい仕草。




大丈夫。



何も、忘れてはいない。