教室の1番前の席に座っていた夜猫の子が、私に駆け寄りながらそう言う。
……確か、この人は……。
『雷』
『え?』
私の言葉に驚いたように顔を上げる雷。
……どうやら、合っているらしい。
間違えないでよかったよ、本当。
『……俺の名前、わかるんですか?』
『……仲間だから』
少なくとも、私はそう思っているから。
『そうですよね、仲間、ですから!』
そう言って笑う雷に、何か違和感を感じた。
……何だろう、この違和感。
じっと雷を見つめながら考えるが、答えが思い浮かばない。
『……どうしたんですか、玲彩さん』
自分を見つめ、首をひねる私を不思議に思ったのか、雷がそういう。
……わかった。
『敬語、無し。
同級生なんだから』
敬語だ。
壮一は例外だけど、雷にまで敬語は使われたくない。
『え、でも!』
『……良い』
『玲彩さ……玲彩がそう言うなら』
さん付けしようとした雷を睨みつけると、言葉を詰まらせて言い直す雷。
『それより! この黒板消し、どういう意味?』
落ちてきた黒板消し片手に、私に聞く雷に、首を傾げてみせる。
……まぁ、悪戯、と言うか、靴箱の紙と同じやつ何だろうけど。



