黒狼と猫の総長様






『……猫』



私の前で琉がボソリと呟いているのが聞こえる。



『城間は玲彩さんの後ろな』






できるだけ城間と視線をあわさないように逸らしていると、海斗の、そんな台詞が耳に入る。





……やめて欲しい。





せっかく、窓側1番後ろだったのに。




それより、この席譲るから、私をどこかに移動させて欲しい。





……何が悲しくて城間の前の席に座らないといけないの。





後ろから送られてくる視線で、背中に穴が開くと思う。





『よろしくね、玲彩さん』






ガタッと音を立てながら椅子を引き、腰をかけて私に爽やかスマイルを向ける城間。






……今更、私にそんな笑みを向けても本性分かってるし、ね?






『……』





そんな城間から視線をそらし、前に向き直る。






『じゃあ、お前ら、城間と仲良くやれよ。

SHRぽくなってすまんな。
1時間目は自習。静かにやれよ』






そう言って黒板にデカデカと自習と書いた海斗は目を摩りながら教室から出て行った。






……アレか。




ルキのところで昼寝する気だ。






久しぶりに、私も行こうかな……。





教室に通うようになってから、一度も行っていないし、イチゴオレも飲んでいない。





『……翔』






『ん?』






『……ルキのとこ、行ってくる』







私の言葉に頷いた翔を見て、教室から出る。





……本当、久しぶり。





少し前までの私なら、教室から出てくることさえなかったはずなのに。







変わった、のかな。

私も。





翔達のお陰で。