『……あんたよ』
男を冷めた目で見つめながらそう言う。
『僕? 嫌だなぁ、ストーカーなんてするわけ無いじゃないか!』
『……じゃあ、何でこの学校にいるの?』
『それは勿論、マイハニーを追ってきたのさ!』
……やっぱり、ストーカーじゃない。
『……そ』
もう、どうでも良いや。
面倒なことが増えるだけ。
面倒なことが……増えるのか……。
『玲彩』
突然名前を呼んだ翔に、声を出さずに顔だけ向けて答える。
『……誰、こいつ』
『……ストーカー』
『そうじゃない。
どこのやつだって聞いてるんだよ』
……ああ、そう言うこと。
『……城間財閥の跡取り。
小さい頃、パーティーでよく一緒になって。
その時からストーカーされてる』
財閥の人間は嫌いなのに。
『なぜだいマイハニー! 何故もうパーティーに参加してくれないのかい?』
翔との話の間に割り込み、そんな事を聞いてくる城間。
なぜ、ね。
『……嫌いなの、財閥』
黒い。黒い。
汚い手を使ってのし上がっていくしかない世界。
『……考えたくもないわ』
そう言って、机に伏せる。



