黒狼と猫の総長様





『前も言いましたけど、若って、本当男心わかりませんよね』




ふっ、と鼻で笑いながら月夜がそういう。





……確かに、この前言われた気もする。





『この場面で貶すの?』




『だから貶してないですって!


俺、いいと思いますよ。
若のそういうところ』




珍しく、優しい笑みを浮かべる月夜の瞳から、目が離せなくなる。





『……そう』





特別、何かを言うわけでもなく。




それだけつぶやいて視線をそらす。




『……満月ですよ、若』





月夜の言葉に、外に視線を向ける。




『……お父さんとお母さんが死んだ夜も、祐希が死んだ夜も。



気持ちが悪いくらい綺麗な満月だった』






だから、満月は嫌いだ。




綺麗すぎるくらい丸い、月の光があの時を思い出させる。




赤い、赤い血飛沫が頭をちらつく。