黒狼と猫の総長様






『……ただいま』





玄関を開け、つぶやくようにそういう。





小さく言ったつもりなのに、奥からバタバタと走ってくる音が聞こえた。





『……わ、若!?』





今日は透さんたちが来ていないのに、私が来た事に驚いて月夜が声を上げる。





『……ただいま、月夜。

迷惑、かけてごめん。
他の皆も。


ただいま』






そう言って笑った私を、月夜を含めた皆が、笑いながら歓迎してくれた。





『皆、飲め!


今日から若がもどってきてくれるぞ!』




そう言った幹部の1人である智之にお酒を勧められる。




『……ありがとう』






そう言って受け取り、飲もうとした私の手から、お酒を奪い取る月夜。







『月夜?』





『……若。


帰って来てくれて、ありがとうございます』





そう言った月夜の声が震えているのに気づく。





……心配、かけさせたな。





『……こっちこそ、ごめん。


もう、過去はひきづらない』





そうだ、忘れるところだった。




『……話がある。


皆を、大広間に集めてくれ』






声と口調が変わった私に、月夜が顔を上げ、真剣な顔つきで頷く。




『……了解しました。若』