「つ、着いた…」


20分程自分の勘だけを頼りに事務所を探していると、ようやくそれらしい建物を発見することが出来た。


真っ白なコンクリートで形作られた一軒の建物。


玄関付近には【西條探偵事務所】とプレートが掛けてある。


間違いなく、女性が探している建物なのだが、どこか不自然な点が見受けられる。


この付近には何もない。


つまり、丘には確かに建物が密集していたが、一番上にはこの建物以外ないということだ。


「……えーっと」


女性は暫し、どうしたらいいか分からなくなった。


名刺に印刷されている建物は目の前にあるものと同じだが、本当にこの建物なのかが不安。


女性はもう一度名刺を取り出し、内容を見直した。


「【西條探偵事務所】…これで合ってるの?」


「えぇ、合ってますよ」



独り言だと思っていたら、いきなり誰かが答えてきた。


勿論、女性は目を見開き、すぐさま声の主を見る。


そこに居たのは学校帰りだと思われる高校生ぐらいの女の子だった。