「行く行く! 約束ですよ。うれしいな」 それはわたしにとっては、夢のような出来事だった。 「うん。絶対に誘うから」 精悍な顔立ちが柔らかくほどけ、少し照れくさそうに彼は笑った。 その笑顔も、 黒い瞳も、 ビールの入った紙コップを持つ大きな手も、 美しい桜が放つ仄かな光も―― わたしはずっと忘れられなかった。 ずっとずっと……。