そのまま隣に座り、そっと肩を抱いた。

自分の肩に彼女の頭をもたれかけるように、体を引き寄せる。

ホントはリクライニングを倒して、ゆったり寝かせてあげなきゃならないんだけど、あと少しだけこうしていたい……。


まったくこの人にはいつも驚かされる。

深夜突然やってきて、
思いつめたようにオレを見あげた。


潤んだ瞳。
キュッと噛んだ唇。

溢れる想い……。


そんなものをまともにぶつけられて、
こっちまで……思わず打ち明けてしまった。

自分の中にずっと封印するはずだった想いを。

彼女の幸せを考えるのなら、むしろ叶わないほうがいいとさえ思えた願いを……。


もっと若くて熱い瞳が、彼女に向けられているのを知っていたから。

そのほうが沢井さんの幸せにつながると考えたんだ……。


だけど、笑顔はもちろん、
泣き顔は痛烈に胸を突く。

いつも、誰に対しても見せる明るい笑顔。

優しさ。

その芯にある強さ……。


それが一気にくずれて、子供みたいな泣き顔になるから。

オレは……自分のふがいなさに立ち尽くしてしまうんだ。