肩が触れ合う。

その距離感にドキドキしながら並んで観たのは、
とても優しい映画だった――。

温かくておかしくて、笑っているうちに涙がこぼれる、そんなストーリー……。





感動のラストが近づく頃、ふいに肩を引き寄せられてドキッとする。

そっと横を仰ぐと、穏やかな笑顔がちらっとこっちを見て、それからまた真っすぐに、その顔を画面へと戻した。


わたしもすぐに映画の世界へ戻るけど、
桂木さんの大きな手が触れているところが熱くて、心臓がトクトクと跳ねている……。


ラストまでずっとその体勢のままで。

やがて大画面にエンドロールが流れ、彼は自然に、その腕を離した。


「すっごいよかった……ね、映画」

「うん」


興奮気味に見あげると、桂木さんはうなずきながらその黒い瞳で、わたしの目の中をのぞく。


「あ、えっと、次は? こ、こっちでもいい?」


恥ずかしくなって、次に観るDVDをパックから取り出して、あわててソファから降りた。

デッキにそれを挿入して戻ると、また彼の隣に座り、リモコンの再生ボタンを押す。


「え、観るん……?」


桂木さんがつぶやいた。


「え、観ないの?」


思わず聞き返したら、彼はフッと笑った。


「オレ……沢井さんに押し倒されるの待ってるねんけど」

「ええーっ?」