だったらわたし、どうしたらいい……?
『アズの気持ちを伝えるだけでいいきっかけになるから』
トシくんはそう言ってくれたっけ。
「約束……覚えていてくれたんですね」
「え?」
ふいにそう言われて我に返る。
「これ、オレが誘った映画です」
わたしの横のスツールに腰をかけると、桂木さんはさっきしまった布製のパッケージのマジックテープをベリベリとはがしていく。
そうして取り出したDVDを、彼はもう一度見つめ直していた。
「ああ、うん。昔の話ね。桂木さんはきっともう観たんちゃう?」
なんだか言い訳みたいに早口になる。
彼があの約束を覚えていてくれたことは、もちろんうれしかったんだけど、でもそれにこだわっていた自分を知られるのは、やっぱり恥ずかしかった。
「オレ、あの約束のあと、すぐにリカコとつきあうことになって……。映画のこと、沢井さんに謝りたかったんやけど、本気にしてるのは自分だけかって思えて……結局何も言えんかったです」
桂木さんはポツポツと、そう話してくれた。
「それでも自分としては後ろめたくて、この映画は公開されてもテレビでやっても、どうしても観る気にはなれんかった」
「え、観てないの?」
「うん」
「わたしも観てない」
思わずそう告げると、桂木さんは神妙な顔でうなずいた。



