「わかった。買う」


こーなったら、もう覚悟を決めるしかない。

で、でも……。


「でもそれ、どのタイミングで出すん? 『大丈夫。わたし持ってますから』って、桂木さんに渡すの?」


マジで質問してるのに、トシくんはゲラゲラ笑う。


「じゃー、オレにもらったことにしといて。
桂木さんのとこへ行くって言ったらオレに手渡されたって」

「う……ん」

「それならオレが応援してる気持ちも桂木さんに伝わるし、ちょうどええわ」


なんてトシくんは言った。


それからわたしの顔を真っ直ぐに見て、


「がんばれよ」


って微笑む。


「ありがとう、トシくん」

「おう」


照れくさそうに笑った顔は、すぐに後ろを振り返り、店の方へと駆けて行った。


ありがとう、トシくん。
ありがとう、うるるん。

わたし、がんばるよ。

いつも勇気がなくて、後悔ばっかの恋だったから……。

今度こそは逃げずに行かなきゃね。


ガラじゃないことでも、
どんなに恥ずかしくても、
なりふり構わず……、

よ、酔っぱらった桂木さんを押し倒して、

き、き、既成事実を、作りに行く……!