『ム、ムリしてる……よね?』
小さな声でささやいた言葉に、トシくんもうるるんもコクコクとうなずく。
一生懸命気持ちをを抑えて、
一生懸命平気な顔をして、る?
よ、
ね?
「桂木さん、これ持って帰ってください」
閉店間際、お客さんもまばらになったとき、トシくんが調理台の上に、ドーンと一升瓶を置いた。
桂木さんがよく飲む銘柄の焼酎。
「オレのおごりっス。あとで払っときますから」
「そうそう。店長、今日はもう帰って、家で好きなだけ飲んだらえーねん」
「あとはわたしたちで店閉めときますし」
トシくんとうるるんと3人で勧める。
「え。いやいや、オレ大丈夫やで……?」
なんて桂木さんは笑った。
「はいはい。そーやってムリしてると、店長はあとでドッとくるタイプやから!」
「早めにヤケ酒飲んで、ガス抜きしといてください」
「うん。ため込むと……ほら、前みたいになるから」
みんなでそう言ったけれど、桂木さんは全然自覚ないみたい。
「ありがとう。でもオレ大丈夫やから。リカコのことは、もうフッ切れてるし」
なんて苦笑する桂木さんを、みんなで強制的に早帰りしてもらう。



