トシくんが言うように、この数ヶ月で気持ちは少し楽になった。
桂木さんへの想いが強すぎてつらすぎて苦しかったのが、落ち着いてきたって感じ。
でも見える景色は変わらなかった。
相変わらず桂木さんを見ている。
リカコさんを抱き締めていた彼の姿を思い出すと、やっぱりつらくて悲しくなるんだけど、それも仕方ないと開き直れたってこと、かな。
本気で桂木さんをあきらめるとしたら、わたしは店を辞めなきゃなんないだろうし……。
だっていつも目の前にいると、どうしたって『好き』の気持ちは更新されてしまうから。
桂木さんはどう……かな?
この数ヶ月で、見る景色は変わった?
それは、わたしにはわからない。
元々そういう想いを表に出す人ではないし。
なのにあの夜、お酒のせいで想いが溢れ出てしまった彼を見て、こっちはショックだったわけで……。
その後、逢うことのなくなったリカコさんへの『好き』は、桂木さんの中でどう更新されているんだろう……?
「アズ、この写真にするって」
スマホを片手に、トシくんが声をかけてくれた。
「へー、いいやん」
「な」
「カクテルも可愛いし、お客さん増えるといいね」
「うん」
そして――
この数ヶ月で一番変わったのは、この人、トシくんだと思う。



