やらかしてしまった。
完全に。


醜態をさらした翌日、自転車で店へ向かいながら反省会。


第一なんであんなに泣いたのか。

桂木さん、きっと気味悪く思ったよね?

誠実で
優しくて
不器用で

でも男らしくて……。

そんな桂木さんが、今でもあんなにリカコさんのことを引きずってると知って、

なんか……叩きのめされた。


ある意味桂木さんらしいけど……。

そういうとこが好きなんだけど……。


『こっちが迷惑や』


そう言ったのはお店のこと?
それとも……。

じわーと、また涙が滲んでくる。

あかんあかん!
今日はちゃんと仕事しよう。

そう思うそばから、あの夜のことが蘇る。

リカコさんを抱き締めて……、
泣いていた桂木さん。

震える声も、吐息も、表情も、

見てしまったものは、
見なかったことにはできないから。

きっとわたしは一生あの光景を忘れることができないと思う。


だったらもう……諦めるしかない……もん。