「トシ…く…」


小さく頭を動かしオレを確認すると、アズは涙と鼻でベタベタになった顔をそのタオルにうずめた。

漏らす息がいつまでもしゃくりあげている。

なぜか胸がギューッと締めつけられて、愛おしくなる……。


「桂木さんに……な……嫌われて……しまってん」


アズはやっと途切れ途切れに、そう言った。


そんなことが、こんなにも悲しいんか……。


隣にしゃがんで、アズの頭に手を置いた。


「別に嫌ってへんよ。ケガすると危ないからって言うてたで」

「ほん…まに?」

「うん、明日待ってるからって」

タオルに顔を埋めたまま、アズがコクコクとうなずく。


ハー……。


「片想いって……苦しいよな。オレもアズに片想いしてるから、ようわかるよ」


なんか、思わず告ってしまったり……。


「…………」

「…………」


アズの頭が揺れて、次の瞬間、タオルでバシッとはたかれた。


「イタッ」

「もートシくん、ビックリするやん! 一瞬本気にしたやんか」


そう言うと、アズはやっと笑顔を見せた。


「あ……そう? マジやけど」

「そんなんええから、もー」


なんて笑ってる。


えー……。そんなにもスルー?

とはいえアズが笑ったんなら、もうええけどな、オレ……。