悔しくって、可哀想で、たまらなかった。
どんなにか不器用で誠実な桂木さんの想い……。
それを踏みにじることなしには成り立たない幸せを、選んだふたりが許せなかった。
ボトッ。
油断してたら、膝の上に組んだ指先に、涙がこぼれ落ちる。
「あんまりや……」
喉の奥がギュウッと熱くて痛い。
リカコさんの頭を大切に抱え込むように抱き締める、桂木さんの横顔が目に焼きついていた。
「オレがアホやから、悲しなったん?」
不意に横で声がした。
「うわっ、起きてはったんスか?」
「うん、カッコ悪いから寝たフリしてた」
「ほんまカッコ悪かったしっ」
思わずデカい声が出た。
「リカコさんから引き剥がすの、大変やってんからなっ」
「ゴメン……」
素直に謝る桂木さんが、ちょっと可愛い。
「あーあ、何でオレ、あんなことしてしまったんやろ? カッコ悪……」
やっと自分自身に呆れているらしい。
「めっちゃ泣いてましたよ、リカコさんも、あの男も」
「そっか……」
桂木さんはちょっと遠い目をした。
「すみませんって、ヒョウ六なんか泣きながら土下座してたし」
「泣くぐらいなら、最初っからあきらめといてほしかったわ」
桂木さんがポツッと漏らす。
「ホンマそれな」
オレも苦笑した。



