そこへタクシーを捕まえて戻ってきたうるるんが叫ぶ。
「トシ! 早く何とかしてよっ! リカコさん震えてはるやん」
「う、うん」
オレはユースケとふたりがかりで、桂木さんをリカコさんから引き剥がした。
剥がしても剥がしても、桂木さんの腕はリカコさんを抱きすくめるのをやめないから、それはもう大変で……。
うるるんの言葉通り、リカコさんはガクガクと震えていて、それが桂木さんに対する恐怖なのか、自分が犯した罪の重さに慄いているのか、オレにはちょっとわからなかった。
「桂木さん! もうあかんって! 知ってるやろ? リカコさんとはもう離婚したんやから、みっともない真似すんなっ」
オレの怒鳴り声に、一瞬桂木さんが怯み、その隙にアズが逞しい腕から、リカコさんを引っ張り抜いた。
そうしてユースケとふたりがかりで桂木さんをタクシーに押し込み、運転手に告げる。
「悪い。ちょっと待ってて」
それからオレは、座り込んで泣いているリカコさんとヒョウ六の元へと引き返した。
「これが、アンタらの選んだことや」
オレはまだ、地面に額を擦りつけている男の胸ぐらを掴んで顔を上げさせる。
「選んだからには、きちんと責任取れや。泣いてんと、しっかりこの人を守らんか、こらっ」
「は、はい」
ヒョウ六は泣きながら、リカコさんを抱き寄せた。



