「なぁ、トシ」
「はい」
「強い店を作ろうって言うたん覚えてる?」
「覚えてますよ」
「オレ、本気やから……」
妙に真剣に、桂木さんは言った。
「オレなんか大したキャリアもなく、平凡な男やけど、流れ星におったらスゴイことが出来るかも知れへん」
「スゴイこと?」
「うん。スゴイで」
と桂木さんはうなずく。
「がんばって、強い店作って、でっかい有名店とか押さえるぐらいの人気店になったら、どうなると思う?」
「どーなりますか?」
「お好み焼きは大阪が本場やぞ? お好み焼きで勝負してミナミを制するってことは、全国制覇するに等しいやん。いや、これはもう世界制覇やんな?」
「まーお好み焼きは日本のもんやし、世界にライバルはおらんけど……」
桂木さんに押されて、オレもそううなずいた。
「なぁトシ。オレとお前で世界制覇や。スゴない?」
「あっは、スゴいっス。店長そんなん企んではったんですか」
「うん、秘かな野望」
「えーなぁ、それ」
「やろ? おもろいなぁ、人生って……」
そう言うと、桂木さんは天井を見上げ、ニッコリと笑った。



