桂木さんもさっきまでのピリピリムードはなく、リカコさんに怒られながら素直に従っている。
その様子は、なんだかほのぼのと微笑ましいぐらいで……。
まー、ふたりが書いているのが離婚届だって知らなければの話だけど。
「ね、何歳?」
突然リカコさんに聞かれた。
「21ス」
「よかったぁ。これ、証人に成人2名の署名がいるから、沢井とあなたに頼んでもいい?」
なんて、離婚届を指差しながらブッ飛んだことを言う。
え~っ、オ、オレ?
とオレが聞く前に、「は?」と桂木さんが顔をあげた。
「やめようや、そういうの。他におるやろ親戚とか」
「え~、でも……」
そこへドリンクを運んでアズが出てきた。
ふたりの前にジンジャエールとコーラのグラスを置くとき、広げられた用紙に気がついたようで、アズの顔色が変わる。
「あ、沢井、ちょうどよかった。これにサインしてくれへん?」
やっぱりその紙を指して、リカコさんが言った。
「え……」
固まるアズに、桂木さんが立ちあがる。
「すみません、沢井さん。式に来てもらって、お祝いまでもらったのに、こーゆーことになりました」
ちょこんと頭を下げる桂木さん。正しい挨拶。
「い、いえ……」
下を向き、ブンッと首を横に振るアズ。
唇をキュッと結んで、動揺を隠しているのがわかる。



