「あーして昔と変わらずに、一生懸命トイレ磨いてんの見たら、安心するんです、ボク」
と海堂さんは笑う。
「人間こういうことが出来へんようになったらおしまいや。トシヤ、ホスト辞めたいみたいやけど、あーゆー姿見たら、それでもええかなと思えてくる。どこへ行ってもあいつはあいつやからね……」
それからしばらく海堂さんは、鏡の中のトシくんを眺めていた。
「あいつ大人になっても笑顔だけはガキの頃のまんまでね、それが気がついたら……ほとんど笑わんようになっとった。
トシヤはホストとして、昇りつめるのも早かったけど、つぶれるんも早かったですわ。18歳でナンバー1になって、19ではもうやる気ゼロやったからなぁ」
「そう……なんですか」
そんな相槌しか打てない。
「ま、優し過ぎるんでしょうね。ホストで大成するようなやつは、皆もっとシビアですわ」
低いトーンで海堂さんは言った。
「今は女性も遊び上手やし、ホストクラブに来たって、それぞれ自分なりのお金の使い方を知ってますわ。それでも中には、ホストにハマって借金作って、体売ってまで通いつめる子がいるんです。トシヤそういうの耐えられへんみたいやなぁ……」
あ……。
なんかわかるような気がする。



