流れ星スペシャル



「それをこいつが何も感じていないんなら、しゃーないやん。元々何もなかったということでしょう。ボクの勘違いや。返してもらうものなんてありません」

「あ、あの……」


不気味な引き下がり方をされて、なんて答えたらいいのかわからなくなる。


「15歳でこっちへ出てきて、誰にも相手にされんかったこいつを、面倒見たったんはボクや。それを踏みにじってでも出て行くんか、と言いがかりをつけただけですわ」


いや、引き下がっては……ないか。



「あ、あの、恩や真心を……頂いたと言ってました」


そうそう。お金のトラブルだと勝手に決めつけたのはわたしで、トシくんは元々お金の話ではないと思うって言ってたっけ。


「わは、トシヤそんなん言うたん?」


わたしの言葉を聞いて、男の顔にパッと明かりが差した。


「なーんや、お前、そんなん感じてたんか~」


眼光鋭いド迫力フェイスが、一変して隙だらけとなる。


「ヒヒヒヒ」


男は立ちあがり、長いリーチを伸ばして、テーブルを挟んでこっち側に座るトシくんの頭をグリグリとやった。


「やめろや、カッコ悪い」


パシッとその手を振り払い、トシくんはムスッと顔を背ける。



「恩も心も、信頼も、期待も……、全部受け取ったけど返されへんって、言うたやん」



ポツポツと苦しそうなトシくんの言葉。


「だからゴメンて言うたやん」