で、案の定、ダイヤモンドダストの前に着くと、素直だったトシくんの態度は一変する。
「え、アズ、どこへ行くつもり?」
「代表と会って、直に話す」
「は? 何言うてんねん。なんでここ知ってるん?」
わたしに引っ張られて歩きながら、ダイヤモンドダストがだんだん近づいてくることに、トシくんだって不安を感じていたはずだ。
でもわたしがこの店を知るわけがないんだからと、タカをくくっていたんだと思う。
「フ。ウチらの情報力をナメてたらあかんよ」
うるるんがただ名刺を拾っただけだけど、もったいつけてそう言っておく。
「まぁええわ。帰るで」
そんな答えよりも何よりも、トシくんは今すぐこの場を立ち去りたい様子。
つないだ手をグッと引かれて、今度はこっちが引っ張られる形となった。
「イヤ! 代表って人に会うまで帰らへん」
わたしがそう足を踏ん張ると、トシくんはものすご~くイラッとした顔になった。
「あのなぁ、あいつはお前の思ってるような人間とちゃうねん。キレたら何するかわからんねんぞ。早よ帰ろ、見つかるやん」
「だ、だけど、トシくんはこのままずっと、その人の言いなりでいいの?」
ダイヤモンドダストの入り口の前で、そんな言い合いを始めていると、突然、背後から声がした。
「誰の言いなりって?」
地獄の底から響くような低い声。
「「うわっ」」
振り向くと、やはりあの夜見た大柄の男が、スーツのポケットに片手を突っ込んで立っていた。



