とにかく向こうが何を要求しているのか、会ってはっきり確かめておきたい。
50万円はちゃんと返したことになっているのかな……?
「ちょっとここで待ってて」
わたしはコンビニの前で足をとめ、トシくんを置いて中へ入った。
ATMでお金をおろして戻ると、トシくんは缶コーヒーを頬にあてて、殴られた箇所を冷やしている。
「痛む?」
「まー……。用事は済んだ?」
「うん」
わたしたちはまた賑わう街を歩き出す。
辞めるのは『絶対に許さへん』って言われたらしいから、あのヤバそうな人、理不尽な条件を突きつけてくるかも……。
もしそうなら会社の顧問弁護士さんに頼もう。
となると、15歳から違法に働かされていたことだって、こっちのカードになるはずだ。
「なぁ、もう手はつながへんの?」
再び頭の中の考えに集中していると、横からのんきな声が言った。
ハッ!逃げられたら大変。
「つなぐ」
わたしは急いでトシくんの手をギュッと握った。
「え、」
今度は手首じゃなくて、きっちりと手のひらを合わせて、しっかりとつなぐ。
お母さんが幼い子どもの手を引いて歩くように。
「ハハ、ラブラブやん……」
なんてトシくんはおチャラけてつぶやいていた。



