それから話は少し別の方向へと移る。
「トシ。事務室のパソコンも毎日チェックしといてな。社長とのメールのやり取りとか、頭に入れておいてほしいから」
「えっ、あ、はいっ」
トシくんは、ちょっと驚いて返事をする。
「お前の意見も聞きたいし」
桂木さんはそう続けた。
「売上の分析表もいろいろ入ってるから、そういう数字の読み方……、沢井さん、教えてあげてくれる?」
と今度は桂木さん、わたしを見てそう言った
「はい。お安いご用です」
うん。それはすごくいいことだ。
流れ星の経理事務は、こっちに配属されてからもわたしが担当していて、店に早めに出てきては、そういう仕事を片づけている。
事務室で書類を広げているときに、トシくんが出勤してくると、いつも興味深そうに書類を手に取って眺めてるもん。
「オレ、中卒やけどイケる? わりとアホやで」
とトシくんは言った。
「「イケる!」」
と断言したら、桂木さんとかぶった。
「お前しょーもない言い訳すんな。わからんかったら、何回でも聞いたらええねん」
桂木さんはめずらしく恐い顔をしている。
「は……い、すみません」
一瞬言葉に詰まって頭を下げたトシくんの顔が少し赤かった。
それはたぶん恥ずかしかったんじゃなくて、桂木さんの言葉がうれしかったんだと思うよ。
そーゆートシくんも、
そーゆー桂木さんも、
なんかいいかも……。
な~んて。



