「うわ、よかった……。マジでうれしい。ほんまにありがとう、沢井さん」


何度もお礼を言い、顔をくしゃくしゃにさせる桂木さん。


「あーゆー顔見るから、また喜ばせたくなるんやろ?」


横からトシくんがささやいた。


「うん。桂木さんの『ありがとう』には特別な力があるみたい。また言って欲しくなるねん。フフ、トシくんももう抜けられへんよ」

「そんな感じやな」


顔を赤くしていつまでも喜んでいる桂木さんを、トシくんと二人で眺めていた。



「トシくん、明日はわたし7時に来るね」

「休まんで大丈夫?」

「うん、これでもはりきってんねん」

「実はめっちゃ助かる」


トシくんが笑った。