「トシくんはちゃんと言ってくれましたよ。
体キツイんちゃう?って。がんばりすぎやでって。タイムカード押しやとか、明日は休めとか、すごい助かってるよとか……」

「えー…、すごいな、トシくん」


桂木さんは驚いてトシくんを見た。


「いや、それが標準の会話やから。誰でも言うやろ、あんなふうに泣いてたら」


とトシくんはあきれ顔。


「ところが言わんねんな~、桂木さんは」


わたしがぼやくと、トシくんはクスクス笑った。


「じゃー早く言えば? かんじんなこと」


と桂木さんにアドバイスしている。


「え、何を?」

「『ありがとう』やろ」


シレッとそう言って、トシくんはわたしにパスを送った。




うん、そう。もう考える必要はない。


「桂木さん。わたし流れ星に転属を希望します。みんなと一緒に強いお店を作りたい。どうぞよろしくお願いします」


ペコリと深く頭を下げた。


「え。ほんまに?」

「はい」

「さ、沢井さん、ほんまにええの?」


今度はにっこりと笑ってみせる。