「火傷、大丈夫なん?」
ラストのお客さんが帰ったあと食器を洗っていると、声をかけてくれたのはトシくんだった。
「うん。うるるんが薬塗ってくれたし、ほんまはプチッとちっちゃいのが当たっただけで、全然たいしたことないねん」
正直にそう打ち明ける。
「そっか」
トシくんはわたしの横に立ち、すすいだお皿を当たり前のようにわたしの手から取っていく。
それを食洗機に並べながら、トシくんは言った。
「店長にも薬塗ったげた?」
「え、ううん」
「たぶんあの人、オレを庇ったときに火傷したと思うで。ま、たいしたことないやろーけど」
「は? 助けてもらったのに、その言い方?」
わたしがそう言うと、トシくんはアハハと笑った。
「アズ、あとで店長にも薬塗っといたりや」
「うん」
素直にうなずく。
「アホみたいやろ、わたし。なんであんなことで泣けてくるんか、まったく……」
最後のコテをタワシでこすって、トシくんに渡した。
「あるある。そーゆーとき」
トシくんはゆる~くそう言いながら、食洗機のふたをガシャンと下ろした。



