「あのな、トシ。あいつヤバいぞ」 それから西条さんはボソッとつぶやく。 「サラリーマンのくせに頭悪いんちゃうか。オレでももうちょい器用に生きられるわ」 「あ…は」 「まぁ、頼むわ」 と西条さんは言った。 「え?」 「桂木を、よろしく頼む。オレはもうそっちへは行かへんから、お前がしっかり教えてやれ」 「は、はい」 「ええ店になるぞ」 そう言うと西条さんは、受話器の向こうで可笑しそうに笑った。