「富樫さんと、知り合いですか?」
「うん。あいつも店長に昇格するとき、うちの店で研修したんや。あいつの場合、バイトで大体のことは出来るようになってたから、研修っていっても一週間だけやったけどな」
そうだった。そのとき留守を任され、店を仕切ったのは自分だったことを思い出す。
「富樫とは、それ以来ときどき連絡とりあってたけど、えらく評判悪かったぞ、お前」
西条さんがニヤリと笑う。
「あー、富樫さんには嫌われてましたから」
そーゆー話か。
「金に汚くて、バイトの女子にはすぐに手を出す、口答えばっかりのどうしようもないやつ……らしいやん、自分」
バイトの連中だけでなく、本部の人にまでオレの悪口を言いふらしていたなんて、富樫さんのすることは、やっぱ意味がわからん。
で、オレは今日、それを真に受けたこの人にシメられるってわけか。
「あれは全部富樫のやっかみやったんやなぁ……」
と西条さんがつぶやいた。
「え?」
「お前の仕事っぷり見てたら、それぐらいすぐにわかる」
西条さんは酒をすすり、言葉を続けた。



