「あ、女の子とかいない店ですけど大丈夫ですか?」
西条さんがあんまり素直について来たので、不意にそっちを期待してたんじゃないかと、思い当たって聞いてみた。
「いや、そういうのもキライやないけど、お前とは初やからな。今日はゆっくりしゃべれるところがええわ」
なんて言う。
……やっぱ怖いし。
暖簾をくぐると、そこはカウンター席だけの小さな店で、初老の板前が真っ白な調理服に身を包み、一人で肴を作っていた。
「いらっしゃい」
西条さんと並んで腰を下ろすと、トンとお通しの小鉢を出して、親父が軽く笑顔を見せる。
「冷酒、何がある?」
そう聞いた西条さんに酒は任せて、オレは肴を注文した。
「キンキの煮付けと、イカわたのホイル焼き、あとは適当に頼むわ」
「ヒラマサのええのが入ってますよ」
「じゃあそれで」
冷酒で乾杯すると、いきなり西条さんが言ってきた。
「お前、ホストやねんてなぁ」
「え、そんな話、しましたっけ?」
「いや、富樫から聞いた」
富樫……さん?
オレは思わず西条さんの顔を見た。



