夜、休憩を終えて戻ってきた西条さんに、声をかけてみた。
「西条さん、今晩飲みに行きませんか?」
「おっ、ええやん。店何時にあがれる?」
ええっ?
絶対に断られると思っていたのに、なぜか即答でノッてきたから、めっちゃ驚く。
しかも笑顔。
「えっと、ラスト焼いてからなんで、一時過ぎになりますが」
今夜はそれで帰っていいと、桂木さんから言われていた。
「えーよ。どっかで時間つぶして待っとくわ。ミナミは眠らん街やからな。終わったら電話しといで」
軽快にそう答えて、西条さんは自分のケータイ番号をメモしてくれた。
えー……。
桂木さんの誘いは、あんなにバッサリ断るのに、なんで?
逆に怖いし……。
とは言え、今さらバックレるわけにもいかんから、オレは仕事あがりに、西条さんと待ち合わせることにした。
そうして営業を終え……、
オレは今、華やかなネオンに照らされた街を、西条さんと歩いている。
賑やかな大通りから路地へ抜け、狭い道を行くと目的の小料理屋はあった。
その暖簾をくぐろうとして、足をとめる。



