『店の酒飲むんなら、金払えや』


そう言おうか言うまいか迷っていると、富樫さんが意外なことを口にした。


「トシ、お前も宴会参加する?」


「え……。オレはちょっと」


かなりビックリしてそう答える。




「やろーな。お前オレのことバカにしてるもんな」


「それはそっちでしょ」


負けずに返したがそれには答えず、富樫さんはフンッと鼻で笑った。




「今日は、お別れ会や」


それから、そんなことをボソッと言う。




「え、誰か辞めるんスか?」




「オ、レ」


驚いたオレの質問に、もったいつけるように富樫さんは答えた。




「オレ、この店、辞めたるねん」


「え……」


「オレな、飛んだろ思うねん」



そう言うと、富樫さんはオレを見てニッと笑った。