いまだに難クセをつけては、桂木さんを蹴り続ける西条さん。
うるるんが泣くから平気そうにしているけれど、桂木さんが痛みで足を引きずるようにしているのを、オレは何度も見ている。
「なんでそんな人を誘うねん?」
「だって話聞いてみたいでしょ?」
すらっと、桂木さんはそう言った。
「は? あんなやつの話なんか、聞く値打ちないやん」
オレが思わずそう言うと、穏やかな声が返ってきた。
「話したことないのに、なんでわかるん?」
桂木さんは、じっとオレの目をのぞき込む。
「トシくん、若いのにもったいないですよ」
「え?」
「自分で世界を狭めたらあかん。西条さんは流れ星で何年間も店長張ってきた人やで? オレじゃあ教えてあげられへんことを、あの人はたくさん持ってるねん」
「は……ぁ」
「そんな人の話を生で聞けるんや。トシくん、チャンスやと思わなあかん」
「は、はい……」
「まー、西条さんに相手にしてもらわれへんオレが言うのも、おかしな話ですけど」
そう言うと桂木さんは、にっこりと微笑んだ。



