そうして3日目4日目と、研修の日々は進んだ。
桂木さんは相変わらず、怒鳴られ蹴られながら、研修を受けている。
オープン前に数品、調理の仕方を教えると、西条さんは長~い休憩をとり、夜になると戻ってくる。
そうして一応本部のマニュアル本通りに、店舗経営のノウハウを講義をしているらしい。
その日の夕方、オレが店入りすると、ちょうど西条さんが店を出ていくところだった。
厨房に残された桂木さんは、やっぱりキャベツの千切りを始めている。
「研修の時間、だんだん短くなってるんちゃう? あいつサボリ過ぎやろ」
オレがそう言うと、桂木さんは調理台の上を指差した。
今日練習したメニューが数枚の皿にのっている。
「トシくん、これ、どうでしょう?」
「あー、西条さんはなんて?」
「『遅い』って蹴られただけで、他には何も言ってもらえなくて……」
と苦笑する。
その数皿分を味見して、オレが『合格』を言い渡すと、桂木さんは子どもみたいにホッと、息をついた。
あの日以来、夜の研修を終えた桂木さんを、オレたちはなるべく厨房で見学させるようにしている。
その成果がこうして形になっているのは、オレらじゃなくて、桂木さんの力。



