「そーやな。たぶん合格やと思う」
ずらりと並んだ皿の料理を一口ずつ味見をしながら、オレもそう言った。
「えっ、トシもそう思うん?」
「うん」
うるるんに聞かれてうなずくと、戸惑い気味だった桂木さんの顔がパッと明るくなった。
「昨夜、トシくんとユースケくんが焼くのを見せてもらってたから、それが頭の中に蘇って、なんとか焼けた感じ、かな」
「そっか。店長ずーっとずーっと熱心に見てたもんね」
うるるんがねぎらうように言葉をつなぐ。
長時間じっと突っ立ったまま、オレらの手元を食い入るように見つめていた桂木さんを思い出した。
その頭の中には、具材を投入し、炒めあげるその微妙な間合いまでもが、映像として残っているのかもしれない。
「店が忙しかったのに、オレにそんな時間を与えてくれて、みんなには本当に感謝しています」
急に敬語になって、桂木さんはペコリと頭を下げた。
「でも、だったらなんでいつまでも怒られなあかんの?」
うるるんが口をとがらせる。
「そうですよ。ちゃんと作れたのに、蹴ったり怒鳴ったりするなんて、ヒドすぎます」
ユースケも言った。



