「このパワハラの実態を動画に収めましょう」
ユースケが低くささやいた。
「隠し撮りして、会社や本部の人に見てもらうんです」
「ええやん、それ。さっさと着替えて厨房から撮ろ!」
うるるんはもう事務所へ歩き出そうとしている。
「いや、厨房でそんなんしてたら見つかるやろ、普通」
「大丈夫! ポケモンをゲットしてるフリをするねん」
「いや、その方が怒られるって」
オレらがそうささやきあっていると、突然大きな声が飛んできた。
「あーっ、もうイライラするわっ」
焼き場で怒鳴る西条さんの声。
「お前みたいなドンくさいやつ、ほんまムカつくねん」
コテを鉄板の上に放り投げ、西条さんは吐き捨てるように言った。
「夜は奥で講義や。それまで休憩行ってくる」
「は、はい」
「お前はキャベツの千切りでも練習しとけっ」
そう言い残して、西条さんは店を出ていった。
えー……。
「な、何したんっすか、店長」
オレらがあわてて厨房へ入ると、桂木さんは何だかキョトンと突っ立っていた。
鉄板の上には、出来立ての焼きそばが湯気を立てている。



