「あんな、トシ。そんなにもらえるのに、こんな店でやっすい給料で働かされてて、アホくさくならへんか?」


「え?」


思いがけない言葉に、オレは富樫さんの顔を見た。



「ホストもアホくさいッスよ」


真意を測りかねて答えた言葉は、もう富樫さんの耳には届いてない様子。




「今からみんなで宴会するねん」


そんな言葉が返ってきた。


座敷を見ると、店長の取り巻き連中が、コンビニで調達してきた唐揚げや寿司を、冷えた鉄板の上にパックごと広げている。


富樫さんたちは毎月、打ち上げと称してここで宴会をやっているんだ。


肴はこうやって自分たちで買ってくるが、酒類はどうも店のものに手を出しているようだった。


そういえばさっきも学生バイトくんが、もうオーダーストップだというのに、冷蔵庫のビールを補充してたっけ。