「だったら今から練習すればええやん。鉄板は一回冷めたら熱くするのに時間かかるし、電気代も無駄やから、今焼いてまえ」
当たり前のようにそう言うと、桂木さんは少し目を輝かせた。
「実は、トシくんとユースケくんが焼いてるところをずっと見てたから、早く自分で焼いてみたくて、うずうずしてたんです」
「うん。自分の中のイメージが残ってるうちにやっとけ」
で、一応そばで見てやることにする。
桂木さんはすげー丁寧に豚玉とイカ玉を焼き始めた。
ドンくさいし、手際も悪いけど、それでも手順や材料や配合をまちがうことは一度もなかった。
オレらが焼くのをずーっとウォッチングしてたせいかな? 種の混ぜ方も鉄板への落とし方も、ちゃんとできている。
ふ~ん、案外大丈夫やん。
「あとは引っくり返すタイミングさえ気をつけたら、今のでええよ」
鉄板に生地を流した時点で、そう言ってやると、桂木さんは困った顔をした。
「そのタイミングがむずかしくて……」
「まー、初めはわからんやろうから、コテで浮かして焼き色を確かめたらええねん」
オレがケロッと答えると、桂木さんは
「えっ、そんなんしていいんですか?」
と言った。



