「それぐらい言えばええやん。会社は本部に研修料払ってるんやろ? 指導者を替えてもらう権利はあるやん。わかってる? 蹴られんの自分やで」
そう言ってやったが、桂木さんは鼻の頭をポリッと掻いただけ。
「でも、オレが全然ダメやから、腹が立つんやろーし」
な~んて、謙虚なんだか、バカなんだか……。
ちょうどそこへ、ホールから戻ってきたうるるんが飛んできた。
「店長、いっぱい蹴られて痛かったやろ?」
ちょっと泣き出しそうになっている。
「いや、実はあれ、痛くないねんで」
そんなうるるんに桂木さんは言った。
「オレ、中高と部活で柔道やってたから、痛くない受け方知ってるねん」
「へぇ~、そんなんあるん。よかったぁ……」
ホッとしたのか、うるるんがあどけない顔をして笑う。
「あほやな、女は……。そんなワザあるわけないやん」
「女子はローキックの痛さを、マジで知らんのですね」
オレは焼き場へ戻り、隣のユースケとささやきあった。



