そうして営業が始まり――
午後七時、流れ星の客席はほぼ満席になった。
「はよ注文聞きに来いや」
「ビール1杯に、どんだけ時間かかるねん」
店のあちこちからお客さんのクレームが飛ぶ。
うるるんはホールを駆け回り、ユースケはドリンクを作っては運び、オレは鉄板の前に張りついて、次々に入る注文をこなしていた。
だけど追いつかない。
オレらがこんなにバタついているのに、桂木店長は只今研修中で、厨房の奥に引っ込んでしまっている。
ステンレスの調理台の前にちょこんと座り、西条さんから在庫管理についての講義を受けているんだ。
「えらい繁盛してるやん」
桂木さんは大真面目にノートなんか取っているが、講師の西条さんのほうは、そうつぶやきながらニヤニヤと、オレらの動きを眺めていた。
わざとやん、あいつ……。
イラついて、焼きそばを炒めるコテがカチャカチャと大きな音を立てる。
「なぁビールまだ?」
「ちょっとぉ、うちのテーブルまだ何も来てへんよ」
客席から、またも容赦のない声が飛ぶ。
くっそ、キャパオーバーや。



