「じゃー、焼いてみろ」

と西条さんが言った。


「え?」

「研修や。お好み焼きの焼き方を教える」


見ると調理台の上には、いつのまにか他の食材がキレイに並んでいる。

大きなボウルいっぱいに、小麦粉を出汁で溶いた生地がスタンバッていた。

鉄板も熱せられていて、あとは具材を交ぜて鉄板の上に落として焼くだけ。


「初めはキャベツだけでええわ。肉とか魚介とかもったいないし」

「は……い」


取っ手のついたカップを手に取る。

え~と……。
ここに生地を入れ、キャベツや玉子を入れて混ぜるのだと思うけれど……。


「あの、お手本を見せていただけないでしょうか」

そう言ったら怒鳴られた。


「オレが『焼け』ちゅーたら、焼けばええんや。口答えすんな」

「い、いえ、口答えではなく、量とか交ぜ方とかホントわからないんで……」

「気にすんな。お前が焼くの見ながら、ダメ出ししたるわ」


そう言うと西条さんは、なんだか不敵にニヤリと笑った。