ゴロ……。

スパッ。

うわっ。

まな板の前でキャベツと格闘していると、西条さんは呆れて、どっかへ行ってしまった様子。


ザク、ザク。

えっと、こ、こう……かな。

ザク、ザク、ザク。



「は? お前、いつまでちんたらやってんねん」

しばらくして、突然背後から怒鳴られた。

「まだ、それっぽっちしか切ってへんのか」


不機嫌にそう言いながら、彼はオレの切ったキャベツを指でつまむ。


「はぁ? こんなん千切りとちゃう。粗切りやん」

「すみません」

「もっと細く切れっ」

「は、はい」


もっと細く? 困ったな。あれが限界だったのに……。


ザ……ク。

おぼつかない手つきで限界に挑戦してると、ドゴッとまた足を蹴られた。


「カーッ、イライラするっ。お前、やる気あんのか?」


貸せっ、と包丁をひったくると、西条さんはすごいスピードでキャベツを切り始める。

たちまち山盛りのキャベツの千切りができあがった。