「今夜はまず、お客さんの注文をしっかりと聞き取ること! それだけ」
「は、はいっ」
ちょうどそこへ、三人組のギャルたちがご来店。
「いらっしゃいませ」
と声をかけつつ、やつに『行け』と目で合図を送った。
「い、い、い、いらっしゃいませ」
ぎくしゃくと近づいていき、やつはラストオーダーの時間と閉店時間をしどろもどろに伝えている。
プッハ、あいつガチガチやん。
席を案内するより先に、女の子たちが歩き出したので、やつは慌ててその後ろをついていく。
彼女たちは一番厨房よりのボックス席へ陣取った。
「お兄さん男前やな、新しい人?」
「へー、研修中か」
「ほんまや。名札にそー書いてある」
三人組はおっさんに次々と話しかける。
「あ、はい」
やつが首からぶら下げている名札には、『桂木』でも『店長』でもなく『研修中』と書かれてあった。
『ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします!』なんて小さく書き添えられている。
アルバイトに入ったばっかの子が使うやつね。



