「片づけのときに言うといたけど、テーブルナンバーは覚えたよな?」
「はい」
「今から入って来るお客さんには、オーダーストップが1時で、閉店が2時やってこと、ちゃんと伝えるねんで」
「はい」
「それから席に案内して、おしぼり出して、注文を取る」
「は……い」
「ハンディの操作がまだわからんやろうから、レジ台の引出しにあるメモ帳を使っとけばえーから」
「はい」
おっさんは素直に、メモ帳とペンをサロンのポケットにねじ込んだ。
「とった注文は、厨房に戻ってからPOSに入力せなあかんねん。けど、まちがったら大変なことになるから、今日はオレが一緒にやる。それ、絶対忘れんなよ」
「大変なことって?」
「オーダーミス」
オレはギロリと、やつを睨んだ。
「まちがって入力したら、まちがったメニューがお客さんに届く。テーブルナンバーまちがえたら、別の卓に料理が行ってまうし、レジの会計もこのデータをもとに、お客さんがお金を払うんやからな。とにかく全部大事やねん」
「な、なるほど……」
男の顔に不安がよぎる。



