「油引いて」
そう言われた店長は、手渡された油引きでこわごわ鉄板に油を引く。
「ここで一呼吸おいて、油まで熱々になってから、ハイ、玉子を割る」
トシさんが鉄板に、ポンッと一個玉子を割った。
「やってみ」
桂木店長も続いて玉子を割る。
次にトシさんは、水を入れたコップからスプーンで一匙すくって、玉子の周りに水を差した。
ジュワッとあがる湯気ごと、アルミのフタをパコッと被せる。
店長も同じく、それを真似た。
「ひとりで、もっかい、最初っから」
「は、はい」
緊張した面持ちで、店長がもう一度油を引くところから繰り返す。
その横でトシさんは、炒めていたチャーハンを二枚の皿に盛り、残りの一人前を持ち帰り用のパックに詰めた。
「ハイ、あがりっ」
トシさんがそう言いながら、玉子に被せたフタを取った。
「わ、目玉焼き」
と言ったのは、もちろん店長。
「プ。何が出てくると思ったんスか」
その反応に、思わずツッコんでしまった。



