それでもやっぱりホッとしたのか、トシさんは小さく息をついた。
「ユースケ、ちょっとここ任せてもええか?」
「はい、休憩取って下さい」
「うん」
そう答えながら、トシさんはチャーハンを作り始める。
たぶん自分の賄いかな。
そうそう。『賄い』っていうのは、スタッフが休憩のときに食べる食事のこと。
その賄い用に手際よく具材を炒めながら、トシさんは店長を呼んだ。
「あんた、料理作ったことある?」
呼ばれた店長が洗い場からやってくると、いきなりトシさんはそう尋ねる。
「いや、ないです」
なぜか敬語で、店長は答えた。
さっきから怒られっぱなしだったから、力関係が逆転してしまっている。
「目玉焼きくらいなら、ある?」
「いえ」
「インスタントラーメンは?」
「あ、それなら」
「鍋で煮るやつやで」
「え、お湯入れるだけの……」
「そんなん料理って言わんねん」
トシさんはピシャッと言い捨てた。



