そのとき、
パッリーンと、奥でグラスの割れる音が響いた。
おそらくまた桂木店長だろう。
「あれ、あいつに教えたったらええねん」
とトシさんが言った。
「あれって?」
「お前らの貯金箱。富樫さんらとやってたやろ? 皿割ったら罰金って」
「あー……」
富樫店長の発案で、ボクらは食器をひとつ割る度に、罰金として100円を貯金箱に入れていた。
ドリンクのカウンターの奥に置かれた大きな貯金箱。
貯まった金は、みんなで行くカラオケやボーリング大会の費用の足しにしてたっけ。
トシさんも知ってたんやな。ボクらがあーゆーことをしてたって……。
決して誘われることのないボーリング大会の話題で盛り上がるボクらを、トシさんはどんな気持ちで見ていたんだろう?
まー、誘われても行きたなかったとは思うけど……。



